momosaic/桃細工=about mosaic=モザイクについて

モザイクとは?

モザイクとは?

 モザイクとは、大理石やガラス、タイルや石等を、作者の意図の下に細かくカットし、それらの断片を組み合わせて作られるイメージ(作品)の事です。
聞きなれない名前ですが、日本には案外たくさんのモザイクが街中に作られています。モザイクは、「永遠の絵画」とも呼ばれ、きちんとした技法で作られた作品には長い耐久性が確認されています。そういう利点を生かして、ホテルや建物・地下鉄の壁や床などに施されています。
 装飾美術として発展してきたモザイクですが、装飾だけではなく、モザイク自体が立派なアートとして成り立ちます。私は、主に後者を中心に制作しています。

モザイクの歴史

モザイクの歴史

 モザイクは、紀元前3000年代のメソポタミアで始まったと言われている。その頃のモザイクは3~5mmの小さな川石を組み合わせて作られていた。
 紀元前3世紀、ギリシア世界で大理石モザイクが誕生。ローマ帝国に引き継がれて発達した。ローマ帝国が東西に分裂し、ビサンティン時代に入ると、モザイクは「永遠の絵画」として永遠の神の世界を表現するものとなる。、それはビサンティン教会を鮮やかに彩った。
 自然主義的な描写が好まれたルネサンスになると、モザイクに代わって、フレスコ画が優位を占めるようになった。しかし、新たに塗り重ねがきく油彩画が15世紀に登場すると、いっそうの写実表現を求めて、イーゼルペインティングの手軽さを求めて油彩画が美術界をリードすることとなり、壁画は脇役に下がることとなった。こうしてモザイクはその中心的立場を失った。
 しかし、20世紀の自然主義の開放と相まってモザイクは再生する。非自然主義的技法としてのモザイクだ。異なった材質を組合す事で生まれるモザイクの造形効果は、極めて現代的な表現の可能性を含んでいる。

 (出典:モザイク作家 喜井豊治氏のHPより)

モザイクの魅力

私の考えるモザイク制作の魅力

 私は、モザイク制作で一番大切なのは、「アート性」ではなく、「編集作業」だと考えている。
 まず、作家は各ピースの相性を考えなくてはならない。モザイクのピースは、人間のように一つ一つが見栄えも違い、個性を持っている。元は同じピースでも、割られた時点から各ピース違う個性をもつことになる。作家は、一片一片の素材・割れ方・色などを考慮し、隣に置くピースを決めていく。ピースも人間と同じで好き嫌いがあるらしく、嫌いなピースの横に置くとしっくりきてくれない。
 次に、常に遠くから全体を見た時、どう映るかという事を考えながら制作しないといけない。近くで見ると、点であるピースが、遠くから見ると絵または独特のイメージを形成する。しかし、ピースを作り・配置決め・実際に配置する…相当な時間がかかるので、全体像を自分の目で把握出来るのは結局完成時である。絵のように上から書き直す事も出来ないし、一度固まると修正も容易ではないので、配置には特に気を使う。常に想像だけが頼りだ。
 上記のように、モザイクは、既に存在するものを作者の意図する形に「割る・組合す」ことによって作り上げていく。自然または他者によって作られた素材を、ピースにし、各ピースが組み合わさる事によって、部分的にも全体的にも生きるように編集する事、これがモザイク作家の仕事だと思う。料理人と同じではないだろうか。自然や農家の育んだ素材を料理する。同じ素材でも作る人によって味が違う。そういう意味では、料理も広義では編集作業に含まれるのかもしれない。
 素材を自分で作っている人もいるが、ガラスを購入して制作している私にとって、色・材質による制限は避けられない。しかし、私はこの制限が楽しいのである。「これらの素材を自分なりにどう編集していくか…」試行錯誤するのがとても好きだ。
 また、これらの素材に尊敬の念を抱かずにはいられない。私が主に使っているステンドグラスは、ブルズアイ社・スペクトラム社・ココモ社・ヤカゲニー社・サンゴーバン社製のものである。これらはそれぞれの会社の伝統・研究によって生まれ、異国の職人さんが丁寧に作り上げてくれたものだ。また、モザイクで古代から使われている大理石は大地が育んだものであり、一片一片に不思議な温かさがある。自分のイメージを完成させたい!という気持ちだけでは、良いモザイクは出来ない。素材を尊重し、素材と向き合う事により自分のイメージが出来上がっていく。
 これらの事を考えながら制作することが、私にとっての「モザイクの魅力」である。

 制作論が長くなってしまったが、モザイクを見るときは、上記のような事も少し覚えておいていただけると面白さが増すと思う。モザイクは、決して大量生産が出来ない。ハンドメイドで温かみのあるアートなのだ。違う言い方をすると、完璧ではない人間が作った「完璧ではないアート」、即ち「人間らしいアート」のである。近くで見ると、手割で行われているピースの断面に平は殆どない。少し曲がってたり凹んでいたり膨らんでいたり…。これに加え、目地に埋めていく際に出来る凹凸もある。しかし、モザイク作家は、時にこの凹凸も狙っているという事も覚えておいて頂きたい。この凹凸があることによって、光が当たった際に独特の表情を見せるのである。もちろん、光の当たり方によって表情は変わる。
 硬い素材で出来ていることもあり一見堅物に見えるが、よく観ると憎めないというか、心を癒される…モザイクにはそういう不思議な魅力がある。細部を観察した後、全体をまた観て頂きたい。最初とは違った魅力が見えてくるのではないだろうか。