
「だれもね、僕のことを好きになってくれないんだ。彼女とかほしいな」
青年は つまらなさそーに ちょっといじいじしたかんじで
ぽつりとつぶやきました。
確かに青年もそろそろいいお年頃です。
かつおくんは いつもの言葉を使う前に 青年に問いました。
「おまんは自分から人を愛(いと)しいと思うたことがあるがかよ?」
しばらく沈黙が続いた後 青年は伏し目がちに
「ないです。」
と蚊のなくような声でいいました。
青年が 今までの自分をふり返ったことを確認したかつおくんは
「まかしちょきや」といって
あるもの をそっと青年にわたしました。
それは…なんと美しい 澄んだブルーの キラキラ光る
ハート型をした「ちちこ」とよばれる キャンデーでした。
青年は そっと キャンデーをなめはじめました。
すると なんてことでしょう。
清涼感を感じた次の瞬間
体中の血液が げんきに げんきに 流れ出したではありませんか。
鼓動はかけっこを始め 温かい感情で心臓は爆発しそうになり
まだ見ぬだれかを
だきしめたくて だきしめたくて だきしめたくて
しょうがなくなりました。
誰かを愛する感情を体験して
いままでつまらなく思っていた人生がキラキラと輝きはじめました。
青年は 自分が最愛の人と出会う日が そう遠くないことを確信しました。
そして その人を 必ず幸せにする と 決めたのです。
青年はこの日、「人を愛する充実感」を知りました。